小学校への入学は親にとっても子どもにとっても、人生の一大イベントのひとつ。ブリティッシュ・コロンビア州ではキンダーガーデン(幼稚園)も学校に併設していて、5歳になる年の9月に入学することができます。
4歳児が小学校に行くことになるので、「うちの子大丈夫かしら…」と心配する保護者も多いのではないでしょうか。
公立校に勤務するKさんに入学前に準備したいことを聞きました。また、カナダのウェブサイトで準備事項に挙げられているものも紹介します。
日本と違うカナダの教育制度
一口でカナダの教育制度と言っても、州の教育省が定めているため、州によって異なります。
バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州では、義務教育は5歳から16歳まで。この年齢の子どもたちは学校に行く、もしくはホームスクーリングで教育を受ける必要があります。
ほとんどの子どもたちは公立校に行きますが、一部はIndependent SchoolやPrivate Schoolと呼ばれる私立校、さらには家庭で学習するホームスクーリングを選択する人もいます。
各公立校は市町村ごとに設置されたSchool Board (教育委員会)に属していて、就学年齢になると自分が住んでいる地域の学校に通うことになります。越境通学も可能ですが、その場合、教育委員会ごとにさまざまな規定があるほか、通常、校区に住んでいる子どもたちが優先なので、問い合わせなど、早めに準備をするのがよいでしょう。
5歳児がいきなり一日学校で過ごすことに!
カナダと日本の大きな違いは、1年生の下にキンダー、もしくはキンダーガーテン(Kindergarten)という、いわば「プレ一年生」が設置されていること。
キンダーガーテンには子どもが5歳になる年の9月に入学することができます。たとえば10月が誕生日だとキンダーガーテンに入るのは4歳になります。ただし、「うちの子はまだ学校に行く準備ができていない」という場合は、一年遅らせることも可能。子どもの数か月の違いは、体格や能力的にも大きな差が生じる恐れもあり、「一番ちびっこで苦労するよりは」と、入学を翌年に延ばすケースもあります。
「8月生まれの友人の息子さんはやんちゃだったので、先生の言うことをちゃんと聞けず、先生に目を付けられるより、もう少し落ち着いてから入学させることにしたと聞きました』という人も。
他の生徒より1歳年上になるが、カナダでは珍しくはないようです。
食事やトイレは一人でできるように!
日本とは異なるため、キンダーデビュー前にどんな準備をするべきか不安だという、日本人のお父さんやお母さんもいるのではないでしょうか。
公立校で勤務するKさんに聞くと、キンダーに入る前に、できればマスターしておきたいことは
- ・トイレが一人でできる。
- ・トイレに行く必要があるとき、大人に伝えることができる。
- ・一人でちゃんと食べることができる。
- ・話を聞くことができる。
- ・洋服の着脱が一人でできる。
など。
特に食事、トイレ、そして話をきくことができることは大切といいます。
「アルファベットが書ける、数字を10まで英語で数えるなども、できるに越したことはありませんが、これから学校で学んでいくこと。それよりもしつけをしっかりして、生活の基本をみにつけさせてあげないと苦労します」といいます。
「大人に食べさせてもらっていて、自分で食べることができない子もいますが、キンダーに行くとそうはいきません。保育所・プレスクールではないので、自分で食べることを期待されます。入学までに自分で食べられるようにしてあげてください」
お弁当箱をうまく開けられない場合などは、スタッフが手伝ってくれ、その上で、少しずつ自分でできるように励ましてくれるという。「特に家におじいちゃんや、おばあちゃんのいる家庭の子どもは、いつも食べさせてもらっているのか、自分で食べることができません。あるいは、ワーキングマザーで忙しくて、食べさせるほうが早いのか、子どもが自発的に食べるのではなく、大人に食べさせてもらうのに慣れている子どももいます。
最初は時間がかかっても、慣れると子どもが自分でやってくれたほうが、親も楽です。なんとか頑張って、キンダーデビューまでに、一人でできるようにしてあげてください」
「お箸やフォークがうまく使えないなら、お弁当にはサンドイッチやカットしたフルーツなどを入れると手で食べることができます」と、メニューを工夫することも一案。
「多くの生徒はお弁当にクラッカーやプリンなどのスナックを入れてもらっていますが、食事の前にお菓子を食べようとすることも。お菓子は後でね、と言われても、先生の言うことを聞けない子どももいます。こういう基本的なしつけは、入学前までに済ませてください」
洋服の着脱などは、できなくても手伝ってもらえますし、1年の間に少しずつ一人でできるようになればいいとのこと。
カナダのウェブサイトに見る、キンダー入学準備
では、カナダ人は就学前にどんな準備をするのでしょう。『Parents Canada』にチェックリストがあるので紹介します。
生活上のスキル
- 自分の苗字と舌の名前を知っていて、そのスペルを認識できる。
キンダーガーデンでは教室の入口にバックパックやジャケットを置く場所があり、目印に名前も貼ってあります。スペルが分かっていると、自分の場所はどこなのかも分かりますね。
- トイレトレーニング。ちゃんと自分でトイレに行くことができる。
- 自分の靴や長靴、ジャケットがわかる。ボタンをはめたり、ジッパーの開け閉めができる。
- お弁当箱を自分で開けて食べることができる。
- ルールを守ることができる。
- 先生の指示に従い、必要な場合には助けを求めることができる。
- 「please, thank you、you’re welcome」を使うことができる。
- 異なるアクティビティが始まることを理解して、ほぼ問題なく対応できる。たとえば積み木遊びをしていて、片づけて集まりましょうと先生が言ったとき、指示にしたがうことができる。
- 我慢できる。気持ちを言葉に表すことができる。
- 協調性がある。
- 新しいことを学ぶ楽しさを知っている。間違ってもいいということを理解している。
教室で
- 色の識別ができる.
- 数字と文字の違いを理解できる。
- 形が同じもの、違うものを識別できる。
- クレヨンや鉛筆を正しく使うことができる。
- ハサミを使うことができる。
- 4歳なら4歳児レベル、5歳なら5歳児と年齢に合ったパズルができる。
読み書き
- 座ってお話を静かに聞くことができる。
- 本の挿絵を見る。
- 順序に沿って話ができる。
- 本を読んでもらって、登場人物に何が起きたか、その人物がどんな風に感じたか説明できる。
- 絵を描くことで説明することができる。
- 字らしいものを書くことができる。
算数
- 多少の比較ができる。
- 数を数えることができる。
- 基本的な形を認識して、言うことができる。
- 身の回りにあるもののパターンについて認識できるようになりつつある。
参考 https://www.parentscanada.com/preschool/kindergarten-readiness-checklist/